代表取締役ご挨拶
代表取締役 川合 弘
昭和33年6月14日生ふたご座
血液型:O型
動物占い:黒豹
愛知県産業労働部産業振興課の記事をご紹介いたします。
平成8年7月、環境問題を独自の技術とネットワークで少しでも解決していこうと設立された会社がある。
会社の名前は「株式会社川合技研」。染色機械を開発・製造する株式会社川合鉄工所からの分社化による設立だった。
元会社の川合鉄工所時代、林野庁のある人から間伐材の用途開発に苦慮していることを聞く。特に杉の間伐材の用途開発が求められていた。杉はやわらかい素材である。やわらかい、ということは組織的には詰まっておらず、ガサガサな状態であった。「それなら当社の浸透技術を利用できないか」。間伐材は成長に伴って混みすぎた森林の抜き切りにより発生する木材である。しかし、価値はなかった。付加価値をつけ、商品価値を高めることができれば、資源の有効活用になり環境にも貢献できる。
「木材はセルロース(木材の繊維。しばしばコンクリート建築の鉄骨部分に例えられる)のかたまりだ。このセルロースに薬剤を浸透させれば商品価値も出る」。
新規分野開発に興味を持っていた山形の染色企業と共同開発を開始、京都大学の協力も得て、常温・常圧式の木材加工機を完成させる。不燃剤を浸透させれば不燃木材が、蟻の忌避剤を浸透させれば防蟻材ができた。しかも、無理矢理薬剤を注入する方法ではないので木材にもやさしい。
この木材加工機と従来からの排水処理装置が営業品目の「環境問題」を取り扱う企業として設立されたのが川合技研であった。
1年目は木材加工機も数台売れ順調に滑り出すも、2年目には営業上の問題から頓挫、早くも壁に突き当たる。2年目の売上高は、わずか700万円。むろん、大赤字だった。しかしただで転んでいるわけではなかった。この期間を環境に関する様々な情報収集・研究期間にあてる。そこで一つのデータに行き当たる。『排水の割合。企業から29%、家庭から71%』。「家庭からの排水を改善しないと地球環境は良くならない。地球環境保全とは住環境改善だ」。
『地球環境保全と循環型経済社会』を企業理念に掲げる以上、この部分をないがしろにはできなかった。さっそく、ホームページを通じて家庭で環境に関して発生している問題を集め始めた。水、雑菌、カビ、臭い、ゴミ、シックハウス症候群、アトピー・・・。様々な悩みが送られた。「こうした悩みを持つ人は、それを解決できることを期待してくれている。消費者の要望に『できない』といってはいけない」。多くの企業が環境問題に向け様々な試みをしている。すでにいいものが他社で出されている場合には、紹介をした。紹介により同じ志を持つ企業同士のネットワークが形成された。他社になければ可能な限り自社で研究開発をした。
ドライアイスは二酸化炭素の固まり。ドライアイスを使わず同じ保冷効果を発揮できるものが作れれば、わずかでもCO2が削減できる。繰り返し使用できるものならなおいい。こうして開発されたのが「ネオアイス」。愛知県知事より開発についての新規性が認められ、中小企業創造活動促進法の認定も受けた。経費削減が可能となるため法人需要も活発だが、主婦や、つりキャンプを楽しむ人たちにも冷凍材として個人需要も広がる当社のヒット商品だ。
当社は研究開発・提案型の企業で、実はこの他にも創造法の認定を他に2テーマで受けている。一つは滋賀県の企業との共同開発した発泡スチレン(発泡スチロール)の減容装置、もう一つは有機性廃棄物炭化装置の開発である。川合社長はこの炭化装置に大きな期待をかける。熱分解方式によりダイオキシンを発生させないバッチ式の炭化装置で、高温・静置型により良質の炭が生成される特徴をもつ。13年度愛知県先端ものづくり技術研究開発費補助金を受け、さらに良質な炭をつくるための改良を行っている。「循環型社会の中で本格的なリサイクルの流れをつくるためには、安価で良質なリサイクル品が太いパイプで再利用先に供給されることが必要だ」。
取扱商品も20を超えた。取扱アイテム数が増えれば企業ネットワークも顧客への提案力も広がる。「利益最優先という考えではなく、企業ビジョンの達成の過程に利益がある」と独自の企業観を語るが、業績も順調に伸びており、ここ2~3年は売上ベースで倍・倍に増えている。
「環境問題は自分ひとりで背負うことは不可能だ。解決するためには、いろいろな企業のネットワーク・連携が必要だ。そのためには当社の技術を利用してもらって構わない。もし、それが大企業なら解決までの速度はより速いはず。大歓迎だ」と、次なる企業連携の形を模索している。
「環境問題を解決するには、『未来(子供たち)に残す地球はひとつ』のスローガンのもと、個人・企業が『自分は環境のために何をするのか』という個々の取り組みは欠かせない。当社の経営理念。
新冷凍・冷蔵剤「ネオアイス」
「今まではパイの奪い合いで多く奪った者が称えられる時代だった。しかし、当社は『いかに与えたか』という今までとは逆のステイタスで見たときに評価される企業でありたい」。環境問題を解決するにふさわしい経営理念だ。
愛知県産業労働部新産業振興課
産業育成グループ 鈴木